【展覧会レポート】駿河の白隠さん さのび 佐野美術館
昨日、佐野美術館の展覧会「駿河の白隠さん さのび」に行ってきました!
会期2日目、オープンほやほやの展覧会でっせ(^∇^)
今回は、さのび日本刀初心者講座の仲間と一緒に拝見してきました。
「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」
白隠慧鶴は1685年駿河国原宿(現在の沼津市)に生まれた、江戸時代臨済宗のお坊さんです。
この展覧会は、先の静岡市美術館の白隠と一緒にやっていますが…このコラボレーションは何というんだ?共同開催?巡回?ちょっと公式情報での適切な言葉が見当たらないが、
とりあえず、静岡市美と同じ作品もあり、さのびだけで出品された作品も25点あり、地元の巨匠を2度美味しく楽しめる展覧会です。
さて、白隠さん。
さのびの展示では、キャプションに白隠さんが描いた時の年齢が書いてあるのが、面白かったです。
太くて大らかで勢いのある筆致の作品は、だいたい晩年、70〜80代。
顔や衣服のヒダに緊張感があるものは、それより若い頃。
出品数が多いため、年代によって作風を見比べられるのが面白かったです。
一緒に行った仲間内でツボにはまったのは、臨済さんというお坊さんの絵。
「喝!!!」って言いながら、目をカッと見開いて、大きな口を開けて歯をむき出して、拳で手のひらをガツンと叩いてる、大変迫力のあるお坊さん。
その迫力満点臨済さんの後ろに、薄く墨を引いて、オーラのような気の表現までされてて、お爺さんかっこよかったです。
でも、私たちは禅宗の難しいことはよくわからないので…「このおじいちゃん強い、サイヤ人みたいなオーラ出てる!」とかお喋りしながら、楽しく鑑賞しました笑。
頭が弱くて、音声ガイドが理解できないwww
ホントに、禅宗の難しい話、全然わからないんですよ…!
いうて刀剣講座受けた後だから、集中力も残ってないので、細かくて難しいキャプションがよく読めない…。そして、読んでも難しい内容は理解できない…という頭の弱さ。
さのびのミューズクラブの会員は、音声ガイドが無料で借りれるので聞いていたのですが…これも聞いてよく分かる作品と、全然分からない作品の差がwww
第2室の某作品については、3人で聞いて、誰一人として禅問答の内容を理解できなかった…「隻手で音を出す??んん???」って。
一応、今日一緒につるんでた仲間は、全員美術系の学校を卒業してるんだけどなぁ…(遠い目)
おちゃめなお爺ちゃん、白隠さん
禅のむずかしい画題の理解は諦めて、
私が得意としている「作品状に表現してる事だけを楽しむ」鑑賞方法に、シフトチェンジしていきます。
作品を見ていると・・・白隠さんは絵がうまいのか、下手なのか、だんだん分からなくなっていきます・・・!
それでも多分、結論としては「絵がうまい」になるんだろうけど、
ぼかした水のにじみがくっきりと分かれ目になって出てきてしまった技術力を感じないベタ塗り、アール(曲線)がうまく決まらなくて何度も何度も書き直した下書きの線、罫線マス目を引いたにもかかわらず大きさが不揃いかつはみ出てしまう文字、挙句の果てに最後の展示室で出てくる富士山の、風景画のセンスの無さ・・・!
ぜんせん、白隠さんをdisるつもりはないんだが…この人ホントに絵がうまいのか・・・???ってなります。
(友人談)「このベタ塗りなら、私の方がもう少しうまくボカして書ける」
それでも、60代ぐらいまでの絵は、まだ精緻さがあり、
素直に「わぁ、すごい」「迫力ある」って思える作品があるんだが。
70代80代の作品になると、筆致がおおらかに大胆になり過ぎるのか。荒が目立ってきます。まぁ、その荒さえもが、白隠さんの作品の迫力を出す要素なんだろうけど。
なんとも。人を感動させる作品とは何ぞや。時代を超えてみんなに愛されるチャーミングな絵柄について、考えさせられました。
作品の鑑賞について
ところで、私は白隠の図録とか研究書・論文などを読んだことは全くありません。
今回も自分勝手な視点で作品を見て、自分本位で作品を楽しんできたのですが、最近はそういう鑑賞のやり方にはまっています。
例えば、今回もキャプションを一つ一つ丁寧に読み込み、音声ガイドをまじめに聞けば、作品のテーマや禅の教えについて理解が深まったのかもしれないけど、
そういう事を知った瞬間に知的好奇心が満たされてしまい、作品への積極性がシュンと萎えてしまいがちなんですよね。
作品に向き合う時間も集中力も無限にあるわけではない、しかも最近は疲れやすくてすぐにタイムアウトになりがちです。
なので、私は作品への熱い好奇心を抱いたまま、次の作品へ熱いモチベーションを維持したいので、最近はあまり頭を使わずに、目で楽しむ鑑賞で済ませてしまう事が多いです。
目でみえることだけを楽しむ鑑賞、よいですよ。
目で見えたことに特化するので、必然的に作家の筆の運びや制作経緯などに偏りがちです。
「この筆のストロークは…どうやって書いたんだろう」「これはどこから書きはじめたのか」とか。
そうすると、数百年の時を超えて、作家が作品を描いた時のひと筆ひと筆の一瞬に近づいたような、妙なタイムトラベル感を味わえて、すごくロマンチックな気持ちに浸れます(笑)
ずいぶん長くなりましたが、白隠展さのびのレポートはこれでおしまい。
白隠展さのびに行く方は、ぜひ「猫のあしあと」を探してみてください!!!
佐野美術館 現在の展示