ピース、たばこのパッケージデザイン
先日、展示準備・作品調査で、たばこのパッケージデザインを集めてきました。
次の展覧会ではデザインを取り扱う予定になっており、そこでピースのパッケージを扱います。
私自身は普段たばこを吸わないけれど、
大学院生の時は留学生や同級生に「1本ちょうだい」の至福喫煙をしてました。
たまにね。
その頃一番好きだったのが、ピースのスーパーライト。
ピースのパッケージは、紺地の箱に、金色でオリーブの枝をくわえた鳩と、白い文字でPeaceと書かれた、いたってシンプルなデザインです。
白い鳩が幸せの象徴として世界的に認識されていますが、出典は旧約聖書「創世記」ノアの箱舟のエピソードです。
洪水の終息を知らせる吉報として、オリーブの枝をくわえた鳩が出てきます。
ピースのパッケージデザインですが、実は日本のデザイン史上避けて通れない、名品中の名品なんです!
ラッキーストライクなどのたばこのパッケージデザインを手がけたアメリカのデザイナー、レイモンド・ローウィが、ピースのデザインを担当しました。
1951年、レイモンド・ローウィへのデザイン料は、150万円、なんと当時の内閣総理大臣の月収の約15倍という大金です。
レイモンド・ローウィによるシンプルで洗練されたデザインは大人気となり、ピースの売り上げもガンとあがり、高度経済成長期の日本のデザイン界を大きく震撼させました。
なんといっても、日本の戦前のデザインは商業美術とか産業工芸とか言っていましたし、デザインという単語は服飾で使われる程度。
1964年の東京オリンピックなど、元気で輝かしい昭和が、ここから始まっていくんですね。
さて。ところで昭和のたばこ事情ですが、当時健康被害についてはあまり知らされていなかったようです。
日本で調査が始まって以来、一番喫煙率が高かったのは1966年(昭和41)、
男性喫煙率はなんと 87.3%、 女性は18.0%。
現在では、たばこのパッケージの3割ほどの面積が、たばこ警告表示で埋め尽くされています。
昔のタバコパッケージはかっこよかったなぁ、なんて思いをはせつつも、
時代の流れを感ぜざるを得ません。
なお、現代ものでも、缶ピース(50本入りの丸い缶のやつ)だったら、
警告表示が少ないのかな・・・?!と、
いま調べているところです。
缶は欲しい、でも中身は重すぎて吸えないwww
わたしの知人職場の人も、電子たばこに切り替えてたり
アメスピとかメビウスのメンソールとか、全然違う銘柄の趣向の異なる愛煙家が多いので、
どうしよっかなー、と検討中です。
なお、たばこをコレクションとして扱う際には、文化財害虫の発生に
注意してくださいね。
シバンムシ(死番虫)系は、タバコシバンムシとか、タバコビートルというほどですから、
タバコ資料に寄ってきて、周囲の文化財も加害されます。
目視点検、密閉して侵入経路の遮断、ゾーニングなど
リスクが起きる前に回避策を講じることが危機対応の第一手です。