ボランティアガイドのこと

私が働いている美術館にはボランティアガイドさんが複数在籍しています。

毎日いるわけではありませんが、土曜日日曜日の休日やお客様が多い日には、滞在してもらうよう頼んでおります。

  

私が理想とするボランティアの活動方針は、

  

「細く長く、無理なく続けられる活動」であり、

  

その内容は「美術館の魅力を120%伝えるための、20%の部分をお手伝いいただく」

  

というものです。

  

  

これらの方針は、私が他館の美術館ボランティアを視察させていただき、参考にしながら、ここに落ち着いたものです。

※ちなみに現在私が勤める美術館のボランティア方針の中には、公式には採用されてはいません。つまり以下は、ただの私の妄想です※

 

まず、「細く長く、無理なく続けられる活動」ですが、その基本には生涯学習の理念が入っています。

ボランティア活動には、無理が生じてはいけません。例えば、美術館のボランティアには40代もしくは50代から70代くらいまでの子育てを終えた壮年期の皆様が多く携わっています。(学生ボランティアとして若年層の登録がある場合もありますが、今回の話ではちょいと除外します。)

美術館ボランティアのメイン層である壮年期の方は、子育てが終わり自分の時間が増える一方で、介護や持病などにより、ライフスタイルが変化していく可能性が多くある世代になります。

その中で美術館と言う場所をサードプレイスに選んでくれたと言うことを真摯に受け止め、無理なく長く続けられる活動を提供していきたいと思うわけです。

具体的には、週に一回や月に一回など無理のない活動頻度。月に5回も10回も活動に出るのは生活の負担になります。

また忙しいときにはいつでも休める緩やかなシフト管理や、生活が変わった時に少し長期のお休みが取れるようなシステムを、美術館側で作ってあげることが大事だと考えています。

例えば、お嫁さんが結婚・出産した際に、半年や1ヵ月ボランティア活動お休み子育てを手伝った後生活が落ち着いたらまた美術館に戻ってこれるような、戻ってきたいと思えるような場所を作ってあげたいと思うわけです。

  

また美術館にとってのボランティアは無償の労働力になってはいけません。

それを説明するために私がよく使うのは、「美術館で必要な仕事の100%は美術館の職員(給料もらって仕事をしている職員)が行い、それにプラスしてお客様のサービスを充実させるための猫の手として20%のお力添えをボランティア(無償の美術館サポーター)に依頼をする」と言う説明です。

   

ボランティアの仕事の内容や美術館職員との線引きに関して、「これはボラさんに頼めるかな?ちょっと重たい案件かな??」と悩む時に、自分でも120%の話を思い出します。

  

私が昔から気になっているのはプロボノボランティアと言う存在です。

先に言ったように、ボランティアで活動している皆様は、人生の大先輩であり、様々な経験経歴を持っている方が多いです。そのようなお知恵を拝借し、いろんな人のいろんなスキルを生かして、ボランティアの活動の幅を広げ、ボランティアの人たちが生き生きと活動できるような場所を美術館に提供できたら、サードプレイスとしての美術館の存在意義をもっともっと大きくし得るのではないかと思います。

  

最近のシニア世代は凄いです。

人世代前と異なり、現役時代にパソコンをつかっているので、携帯電話やパソコン(オフィスソフト)も難なく使用するし、インターネットやSNSも得意な方もいらっしゃいます。

ボランティアさんにとって、美術館に関わる事で作品とのふれあいはもちろん、人との繋がりもでき、美術館が生き甲斐となったら、美術館屋さん冥利に尽きるな、と思います。